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赤磐市の地質遺産(2)

2016年1月26日 (赤磐市の地質遺産)

3. “川と谷の化石,周匝層”

吉井川の西側に連なる山地の中腹から山頂付近にかけて,鈴木他(2003)によって周匝層と名付けられた円礫層が点在します.

図3. 山頂部に残された平坦面と浸食谷が特徴的なグランドキャニオン
(吉備高原と同じような過程を経て形成されたと考えられる)

これは,古第三紀中頃(約3600万年前〜3400万年前),アジア大陸南部(南中国地塊)の沿岸部を流れていた古周匝川(仮称)の河谷を埋め立てた礫層で,赤磐市周辺の吉備高原で特徴的に見られる川と谷の化石です.

周匝層は礫岩を主体とする地層で,基盤岩との不整合面の追跡から当時の川幅と深さおよび流路を復元することができます.

周匝層と同様の地層は岡山市の旭川沿いにも分布しています.それは周匝層と同時代の富吉層と古第三紀の終わり頃(約2900万〜2700万年前)に形成された津高層に区分されています(鈴木,2009).

おそらく古第三紀の赤磐市〜岡山市周辺は,山地・高原の浸食と河谷の埋め立てが幾度も繰り返されていたと考えられます.

 

3.1. アジア大陸から生き物と一緒に移動した周匝層

日本列島は,新第三紀と呼ばれる地質時代の初め頃(約2400万〜1500万年前)にアジア大陸南部から分離され(日本海の誕生),何百㎞も移動して造られたものです(例えば,Otofuji et al., 1985;図3.1).

図3.1.1. 日本海観音開きモデル(Otofuji et al,,1985)

そのため,日本列島の各所で日本海の誕生とその拡大運動に伴った大規模な褶曲,断層,隆起・沈降運動が起こり,岩石や地層は変形・変位され,浸食と削剝が進行しました.

赤磐市とその周辺に広がる地盤は,日本海の拡大による変動を受けないままアジア大陸に生息・生育していた生き物(例えば,オオサンショウウオ)を乗せて現在の位置に移動したと考えられています(岡山県,2013).

ここは,およそ3500万年の間,大陸地殻のように安定した地塊であり続けたと考えられています(田中他,2003).

図3.1.2. 日本海の形成モデル(http://geo-umibun.jpより)


3.2. 周匝層の分布と古周匝川の流路

図3.2. 吉備層群周匝層の分布図.分布と流路は鈴木他(2003)に基づく.

 赤磐市周辺の周匝層の分布を図3.2に示します.

 朱色で塗色した範囲が地層の分布を示し,破線が堆積当時の河川(古周匝川)の流路を示しています.

 古周匝川は,吉野川上流(美作市)から吉井地区周匝を通り,和気町佐伯地区にかけて.ほぼ吉井川の流路と並行して南下します.

 佐伯南方の大成峠から,その流向を西南方向へ変えて吉井川から大きく離れ,岡山市東区で旭川と並行するように再び南流します.

 周匝層の露頭のうち,アクセスが容易なA,BおよびC地点(図3.2)において現況確認を行いました.

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